アレルギー性鼻炎・舌下免疫療法
アレルギー性鼻炎・舌下免疫療法

アレルギー性鼻炎には、原因となる抗原による季節性と通年性に分けられます。
原因抗原がダニやハウスダストなど、季節に関係なくみられる鼻炎を通年性アレルギー性鼻炎、スギやヒノキなど飛散時期のみ症状がみられる鼻炎を、季節性アレルギー性鼻炎といい、花粉症とも呼ばれます。
スギやヒノキなどの花粉がアレルゲン(抗原)となって、目のかゆみ・異物感・充血、涙、立て続けのくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
春先はスギ、ヒノキ花粉、夏はイネ科、秋はブタクサなど、季節によって花粉の種類が異なりますが、複数の花粉にアレルギーがみられる方も少なくありません。また、近年は発症が低年齢化しており、以前までは少ないといわれていた小さいお子さんにもよくみられるようになっています。
通年性アレルギー性鼻炎は、水様性の鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどのアレルギー症状が、季節を問わず現れる疾患です。鼻の症状だけでなく、目のかゆみや涙目を伴うこともあります。主な原因(アレルゲン)は、ダニ、カビ(真菌)、ハウスダスト、ペット(イヌやネコなどの毛やフケ)などが知られており、なかでもダニは日本人にとって最大のアレルゲンです。
スギ花粉などによって引き起こされる花粉症(季節性アレルギー鼻炎)を合併していることもしばしばあります。近年の鼻アレルギーの全国疫学調査では、日本人の約4人に1人が通年性アレルギー性鼻炎であることが分かっています。
水のような「鼻水」と、繰り返す「くしゃみ」、鼻づまりが3大主徴です。くしゃみや鼻水などの症状により頻繁に鼻をかむことで、粘膜を傷つけて鼻出血が起こる場合があり、特に小児の鼻出血の原因となります。
目のかゆみを伴うことも多く、かゆくて目をこすったりしているうちに痛みを伴い、ゴロゴロとした異物感を生じることもあります。
ほかにも咳、喉・皮膚のかゆみ、口の中の腫れ、ひどい場合には頭痛、倦怠感などを伴うこともあります。
治療の原則は、原因が特定できる場合は、可能な限り原因抗原の回避と除去(こまめな掃除など)になります。
薬物療法としては、抗ヒスタミン薬などの内服薬や鼻噴霧用薬、点眼薬を組み合わせて症状を抑えます。
症状が出る前から治療を始める「初期療法」により、症状の軽減が期待できます。
また、体質改善を目的としたアレルゲン舌下免疫療法もあり、継続することで長期的な症状緩和が見込まれます。医師と相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
アレルゲン免疫療法は、低濃度アレルゲンを長期にわたり摂取し続け、慣れさせることで体質改善を目指す治療法です。
薬物治療(対症療法)とは異なり、根本的にアレルギーを治療する方法として注目されています。以前は皮下注射による皮下免疫療法が行われていましたが、アナフィラキシーなどの副反応、頻回な通院、そして毎回注射の痛みも伴います。このような皮下免疫療法の負担を軽減した治療法として、舌の下に治療薬を投与する舌下免疫療法が確立されました。これにより、ご自宅での服薬で免疫療法が行えるようになりました。
舌下免疫療法は1980年代に海外で開始された治療法で、日本では2014年にスギ花粉症で初めて保険適用となり、翌年の2015年には、ダニを原因とする通年性アレルギー性鼻炎も保険適用となりました。このため現時点での日本における舌下免疫療法の適応は、スギ花粉またはダニが原因となるアレルギー性鼻炎と診断された方で、薬物療法でアレルギー性鼻炎の症状やQOL(生活の質)を十分にコントロールできない方、あるいは、アレルギー性鼻炎の臨床的寛解をご希望される方、となっています。
スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎ともに5歳以上から治療対象となります。
通年性のダニアレルギー性鼻炎は、一年を通して治療できますが、スギ花粉症の場合、スギ花粉が飛散する時期は治療できず、飛散が終わる6月以降から治療を開始できます。
※2026年5月時点でスギ花粉症治療薬の供給が滞っており、スギ花粉症の方の新規治療導入はできません。
舌下免疫療法は、治療期間は3~5年と長期にわたりますが、ご自宅で服用できるため継続しやすいといったメリットがあります。長期的に正しく治療することで、症状を完全に抑えたり、症状を緩和しアレルギー治療薬を減らせたりする効果が期待できます。
一方、重症喘息などを合併する方は受けられず、高血圧(ベータ遮断薬)を服用している方、治療開始時に妊娠している方も控えるべきとされています。
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